離島にきてから、めっきりと人とのやりとりが減ってきた
従って、喋る相手は亭主であったりのら猫であったり、
いきおい庭に繁茂する植物たちとなる
はては、子育て中のイソヒヨドリともなれば、朝の鳴き声が気になってくる

しかし、
この世はまさに音にまみれていて、不思議なほどに孤独感などないのだ
誰と喋らなくても何の不自由もなく
また、何の不便もない
ただ、あまりにも声を出さないと、要するに声が出なくなる
沈黙という美しさもあるが、そんな高貴な存在でもないわたしなど、
沈黙していることに大いなる価値を見出すこともできず、
ただただ、声が出なくなるのを憂いるばかり
何とも下賤な話だ
神社仏閣に鎮座される御像などは
一体どんな心持ちで、沈黙をされておられるのだろう